【書評】AI vs. 教科書が読めない子どもたち/新井紀子
こんにちは、新米パパのaqukです。
今回の書評は Amazonでの評価も高く、タイトルも刺激的なこちらになります。
「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」
著者の新井氏は「ロボットは東大に入れるか」のプロジェクトディレクターを務めた方。本書はそのプロジェクトの話と全国の小中学生を対象に実施した「リーディングスキルテスト」の結果をテーマに書かれております。
現在子育てしている私も大変興味深く読むことができたので、AIに興味がある方、子育て中の方にもおすすめの1冊となっております。
1.読んでほしい人
・シンギュラリティ=AIが人間にとってかわると思ってる方
・子育て中の親
2.概要
東ロボくんは東大には入れなかった。AIの限界ーー。しかし、"彼"はMARCHクラスには楽勝で合格していた!これが意味することとはなにか? AIは何を得意とし、何を苦手とするのか? AI楽観論者は、人間とAIが補完し合い共存するシナリオを描く。しかし、東ロボくんの実験と同時に行なわれた全国2万5000人を対象にした読解力調査では恐るべき実態が判明する。AIの限界が示される一方で、これからの危機はむしろ人間側の教育にあることが示され、その行く着く先は最悪の恐慌だという。では、最悪のシナリオを避けるのはどうしたらいいのか? 最終章では教育に関する専門家でもある新井先生の提言が語られる。(Amazonより)
3.目次
第1章 MARCHに合格――AIはライバル
第2章 桜散る――シンギュラリティはSF
第3章 教科書が読めない――全国読解力調査
第4章 最悪のシナリオ
4.感想
AIがMARCHや関関同立の合格圏内に入ったという事実につきます。
(P.023)
ということは、今ではセンター試験において私よりもAIの方が高学歴ということですw
本の後半にもでてきますが、AIにできないことを身につける必要があるということです。
東ロボくんに散々「ドリル」をさせた私は自信を持って言います。読解力を身につけない限り、そこから先の成績は伸びません。(P.231)
東ロボくんのプロジェクトで苦労した著者だからわかる真実だと思います。
これは子育てにも活かせることで、まず読解力を付けることが大事ということです。
本書では前半部分で東ロボくんの話を通じてAIにできることやディープラーニング、ビックデータについて大変わかりやすく述べています。
後半部分では読解力テスト(以下RST)を通じて、今の中高生の読解力を調査し危機的状況にあることを述べています。
まず前半部分の東ロボくんの話は、
・コンピューターは計算機である以上、「数学に置きかえれないこと=言語化できないこと」はできない。
・シンギュラリティ(技術的特異点)は到来しない。
・Siriの中身。
等々がわかりやすく述べられており、前半部分からとても引きつけられました。
そこからさらに引きつけられたのが後半です。
後半部分は、読解力が低下している子どもたちのことが著者たちのテストによってわかったという内容でした。
読解力と国立大のSクラスと呼ばれる、旧帝大進学率に相関があるのには驚きました。教育には国語(読解)が大事と言われるのがデータとして現れたことになります。
そう言った読解力に差が出る問題を著者は「人生を左右する問題」と言っております。
実際に私のようなFラン卒者ではRSTの例題を何問か間違えました。
例えば、
次の文を読みなさい。
アミラーゼという酵素はグルコースがつながってできたデンプンを分解するが、同じグルコースからできていても、形が違うセルロースは分解できない。
この文脈において、以下の文中の空欄にあてはまる最も適当なものを選択肢のうちから1つ選びなさい。
セルロースは( )と形が違う。
①デンプン ②アミラーゼ ③グルコース ④酵素
(P.204)
正解は①のデンプンになります。
よく読み直してみると確かにと納得するんですが、解いている途中は気づきませんでした。これは私の読解力不足がもたらすもので、危機感を覚えました。
読解力を伸ばす方法として、
・読書量
・学習習慣
・スマホの1日の使用時間
・新聞購読の習慣
等でアンケート調査した結果では相関はみられなかったようです。
唯一、就学補助率が高い学校ほど読解能力値の平均が低かったようです。
つまり、貧困は読解能力値にマイナスの影響を与えています。(P.227)
この本を読んで私がやりたいことは、
・RSTを受験する
・子どもには読解力を身につけさせる
・著者の次回作は期待する
といったところで、RSTの受験は2019年から実施されるようです。
ただ、団体受験のみということで一般開放されることを願い、
読解力を向上させる方法も見つけてほしいと思います。